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あのころのつくばはもうなかった

土曜日は、つくばのノバホールで開催されたこの人のリサイタルに行った。
東京国際フォーラムで毎年8月に1000円で開催されるクラッシックのコンサートがあるのだが、
数年前に辻井伸行氏がソリストとして演奏したとき、この人がコンサートマスターとして出演していた。
遠目に見て、「わあ、あの人、イケメンだね~」と娘に言うと、「ママ、目の付け所、そこ?」と軽くあしらわれたのだが、私はこの人のことをずっと覚えていて、今年の春に生協のチラシにお知らせが載った時、すかさずチケットを購入したのだった。

土曜日も聴きやすい定番の曲が多くて、気楽に楽しめた。ヴァイオリンが奏でる調べも美しかったが、やはりこの人の姿も美しかった。

というわけで、大いに満足した一日だったのだが、アイアイモールの寂れぶりには驚いた。
以前は休日のたびに親子づれで賑わっていたのに、閑散としていてどの店も人の入りが少なく、
昔、よく行った雑貨店もなくなっていた。
TXが開通したころ、センターにたくさんの高級そうに見える商店ができた。
つくばに住む人たちの意外と質素な生活ぶりを知っていた私には、「こんな店が流行るのだろうか」と思っていたが、やはりそういう店も今は住民に合わせた商品を売るようになったのか、大衆的な雰囲気の店になってしまったように見受けられた。

引き続き、日曜日にもつくばに出かけた。
竹園高校で生物オリンピックの予選があり、それに参加する娘の送り迎えをするためだ。
試験の所要時間は90分ほどで、家にいったん帰るにしても、中途半端な時間である。
そこでダイエーがなくなった後にできたSEIYUに行ってみた。
息子が小さかったころ、そこにあったダイエーは、息子のお気に入りの場所で、同じような小さい子でいつも賑わっていたのだが、今は節電のためか薄暗く、SEIYUの他は、あまり流行っていなさそうな飲食店などがいくつか入っており、どれも休日だというのにあまり客もいない。
時間のつぶしようもないので、すぐに退散。

その後、ショッピングセンターで買い物でもしようかと思って竹園に戻ったのだが、なんと竹園ショッピングセンターは、スーパーまで閉店してしまって廃墟のようになっていた。
そういえば、周辺の公務員住宅も何となく廃墟化していて、空家が多そうだ。

暑い中、座る場所もないので、次は並木へ。
並木ショッピングセンターには、この春に友人に会いに行った時に立ち寄った。
様変わりしていたけれど、確かスーパーはあったはず。

そう思って並木に行くと、15日は夏祭りをしているらしかった。
しかし、何となく寂しい感じ。
以前は、ショッピングセンターの中心に小さい子どもを遊ばせる遊具やベンチがあって、
そこが小さい子どもをつれたお母さんたちの交流の場所になっていた。
いつでも、そこに行くと誰かしらに会えたものだった。
今は、駐車場が増えた分、商店の間に一本通路があるだけで、子どもが遊ぶスペースがなくなってしまっている。中にあるケーキ屋も、以前は軽食がとれるスペースがあったが、今はケーキを売るだけの店になってしまっている。

暑い野外にしか座る場所がないので、しかたなくまた車に乗って、
うろうろするうちに松見公園へ。
松見公園には、親子連れが少しはいたが、以前あった小さいレストランも閉店していて、やはり寂しい場所になっていた。木陰のベンチに座ってジュースを飲みながら、ぼんやりとしているとようやく娘から「試験終わった。迎えに来て」という電話が入る。
ほっとした。これ以上、見慣れた懐かしい場所がどれもこれも見る影もなく寂れてしまっている様子を見るのは、辛かったから。
今、住んでいる牛久もつまらないところだが、あの時、周辺地域よりもずっと地価が高いつくばで住宅を買っていたら、さらに後悔したような気もする。

つくば周辺に、最近次から次へと大きなショッピングモールができ、
さらにみんなが心待ちにしていたTXも開通して、都内へも簡単に行けるようになった。
以前は、小さい子どもを中心に住民の手作りのイベントがいろいろと開催されていて、
特別な学園都市らしい雰囲気が醸し出されていた。今のつくばは、子どもを持つ若い研究者が少なくなり、
さらに、商業施設で手軽に既成の娯楽を楽しめるような環境ができた結果、特色のない中途半端な場所になってしまったのかもしれない。
by ymznjp | 2012-07-16 12:33