つかの間の夢

先週の日曜日には、
サントリーホールにキーシンのリサイタルを聴きに行った。
娘と私はずいぶん前から、
リサイタルで演奏されるのと同じ曲目をYoutubeからダウンロードして毎日毎日聞きながらこの日を楽しみにしてきたのだ。

ちょうど同じ日に夫が中国から帰国することになっていたので、
「その日は、私もTも帰りが遅くなるからね。
帰ってきても誰もいないけど、驚かないでね」と夫が出張に行く前に何度も言っておいた。
夫は何を言ってもすぐに忘れてしまうアテにならない男なので、いつだってしつこいぐらいに念を押しておかなければならない。
「花うさぎが出かけることにつまらない文句なんて言うわけないじゃないか。
ぼくがそんなに物わかりが悪いと思っているの?」

娘と私は目配せをしあって「思っているよね」とこっそりとささやきあった。

そしてその日。

初めて行くサントリーホールで、
開演前に動き出すからくり人形や、
ステージ上に輝くシャンデリアやパイプオルガンの一つ一つに
目を丸くしながら、演奏を待った。

そしてキーシンが登場。

もうすご~く、よかったんだから。

リストのソナタはあまり好きではないなと家のコンポで聞いた時には思ったのだけれど、
キーシンが生で弾くのを聞くと、
繊細で、力強くて、もう夢を見ているように感動的だったのだ。

最後には、何度も何度もカーテンコールとアンコールがあって、
一言も話をしないのに、「キーシンってきっといい人なんだろうな」と
しみじみと思った。

夢見ごこちのままショップでお土産を買い、
電車に向かって家に向かった。

続く
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by ymznjp | 2011-10-28 19:17