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やっと一息

先週の水曜日に娘と一緒に「コクリコ坂から」を見にいってから、仕事2件をこなしたり、三浦半島の果てまで法事に行ったりして、あわただしく数日がすぎてしまった。

見たいDVDもあるし、読みたい本もあるのだが、とりあえず一息ついてから、家事をすませてしまわなくては。

「コクリコ坂」は、娘が見たいというから見にいったのだが、私にはそれほどおもしろくなかったかも。
娘はなかなか雰囲気があってよかったと言っていたけれど。

レビューを見ると、「ある年齢以上の人の方が、ノスタルジーを感じられるのかもしれない」と書いてあった。
確かに舞台は横浜だし、私が生まれたころの話だし、ああいう風景は実に親しいものなのだけれど、
それでかえって息苦しくなってしまったのだ。

港町特有の見通しが効かない起伏にとんだ道。
通りの果てを塞ぐ海。
山の間に通る狭苦しい道の両側にごちゃごちゃ並んだ商店。
どこかに行こうと思ってもすいすいと簡単には行けないような閉塞した場所。

昭和時代の家も、美しくなつかしいもののように描かれているが、
ああいう家は、実際には一生懸命掃除をしても、すっかり清潔にはならないものなのだ。
タイル張りのシンクの目地には汚れがしみつくし、
くみ取りトイレからは糞便とサンポールのにおいが入り混じって漂ってくる。
裏道には、バスクリンの色がついた風呂からの排水と台所の食べ残しがいっしょくたになって流れるどぶ川があるに違いない。絵をみるだけで何だか臭ってきそうだ。

10代の私は一人ひっそりと輾転反側しながら
そういう生まれた場所を抜け出す算段をしていたのだ。

やっと抜け出した場所にノスタルジーなど感じるものか。

ネットでレビューをみていたら、20歳の人が「私が好きな時代が舞台となっている」と書いていたが、
あんたが好きな「あの時代」と実際の「あの時代」は違うのよ、フン、とつい思ってしまった。
by ymznjp | 2011-07-25 11:58