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レ・ミゼラブル読了

やっとのことで読み終えた。長かった全5巻。

子供のころに抄訳で読んだはずだが、いったいあのころの(たぶん12歳くらい)の私がこの物語の何を理解したのだろうか。
今回も何を理解できたのか、分からない。

ただ、多くの人たちの切ない命のあり方に圧倒されて、涙を流し、大きな感動を抱えて、
最後の文字に辿りついた。

登場人物たちはそれぞれが自分の抱える何かを貫いて生き抜く。
ファンティーヌは母の愛を、アンジョルラスは祖国への愛を、グランテールは友情を、
ジャヴェールは法への忠誠心を、ディナルディエは打算を、そしてエポニーヌは叶わない恋情を…。

それぞれがある意味で悲惨な人生だけれど、それぞれが懸命に自分の魂の色を輝かせて生きて死ぬ。
その姿が切なくて、胸に迫る。

そしてジャンバル・ジャンが貫いたものは何だろう。
ジャン・バルジャンの人生は痛ましい試練に満ちたものだったが、ミリエル司教によって示された神の愛によって生まれ変わり、その愛を体現して生き抜いた。
その魂はきっと若くて総明なマリユスに受け継がれ、周囲を照らすものとなるのだろう。
たぶん、宗教というものの意味があるとすれば、きっとそういうところにあるのだと思う。
そう思うと、単純な現世利益を喧伝したり、脅して従わせたりすることで人の間の信頼を崩していく宗教など、なんと浅薄でくだらないものだろうか。

さあ、次は「赤と黒」、その次は「アンナ・カレーニナ」に行くぞ。
不況も悪くないなあ。
by ymznjp | 2009-06-15 21:12