今週末、また例の紅楼夢の宴があるので、それに参加できるように、せっせと仕事を進めている。
この会は大学の恩師が主催するもので、次の回で終いになるらしい。
私は前回まで一度も参加したことがなかった。
前回参加したのは、中文科の一年上の先輩から誘いの電話があったからだ。
「先生はあと1年の命だとおっしゃっています。
これが最後の宴だと考えてらっしゃるので、ぜひ皆さんに集まっていただきたいと。」
「あと1年って、先生がそう思いこんでいらっしゃるだけなんでしょう?」とたずねたが、
相手ははっきりと答えなかった。
会場についてみると、先生はお元気そうで、散会間近の挨拶にたったときに、すまして
「次回は5月に予定しております」とおっしゃっていた。
「最後じゃなかったの?やっぱりねえ」と私は隠れてくすりと笑った。
その後、「シルクロード旅行へのお誘い」の手紙も送られてきた。
料金は未定だそうだ。
それでも、かまわず誘うのだから、私が今住んでいる所帯じみた世界とは、別の世界の話のようだ。
ともあれ、そういうことで、先生はなかなかお元気な様子。
先生は厳しい方だったので、在学中は楽しいことばかりではなかった。
何かを手取り足取り教えていただいたわけでもない。
でも、先生がここまでいらっしゃいと容赦なく高いレベルを示してくださったから、今があるのだと思う。
学生時代には、思いもよらなかった道を、それぞれが歩いてきた。
でも、その道が遠かったから、辛い思い出はすっかりみんな落としてきてしまった。
もうみんな若くはない。でも、年をとるのは、それはそれで悪いことでもない。