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つかの間の夢 つづき

ホールを出てから、都内で食事をしようと思ったが、
もう時間も遅かったので、娘と相談した結果、家の最寄りの駅についてから、
食事をして帰ることになった。

上野駅でJRに乗り、膝の上にパンフレットを広げて余韻を楽しんでいたその時に
携帯がなった。

「こんな時間にどこに行っているんだよ!」とイライラした夫の声。

「どこって、今日はコンサートに行くから遅くなるって何度もいったでしょう?」

「知らないよ。聞いてない。
もう家に着いたのだけど、鍵を持っていないから、入れない。」

「え、今まだ上野を出たところだから、まだ1時間くらいかかるよ。どこかで時間を潰してて。」

「何言っているんだ。出張帰りだから、荷物だってたくさんあるし、どこに行けと言うんだよ。
どうにかしろよ。」

どうにかしろと言われても、もう私たちは電車に乗っているわけだし、
これ以上どうにもしようがない。
話してもむだだと思い、そのまま電話を切ってしまった。

夫がいらいらしながら家の前で待っているかと思うと、
パンフレットを見る気もしなくなってしまった。

私は何にも悪くないもん。

だって、私は「今日は遅くなる」って何度も言ったんだし。
鍵を持つのを忘れたのは、夫なのだし。



そうは思ったが、あまり待たせると後が面倒なので、
外食はあきらめて、コンビニで適当に目に付いた弁当を買って、早足で帰った。
せっかく、おいしいものを食べて帰ろうと思っていたのに。(食べ物の恨みは怖いぜよ)

娘は「オヤジがバカなんだから、待たせておけばいいんだよ」とすました顔をしてのんびり後をついてくる。

そうなんだけど、まあ、バカならバカなりに適当にあしらわないと。

家に着くと、夫は玄関前の暗がりに座って、パソコンに向かっていた。
顔を合わせるなり、「私、前から何度も今日出かけるって言ってあったからね!」と
先手を打って言ってやった。

夫は黙って家に入っていったが、いかにも不機嫌な様子。
でも、自分が悪いのは自覚しているだろうから、それ以上何も言ってこないだろうと思い、
私もそれ以上相手をしないことにした。

「せっかく今日は楽しくいい気分で
過ごしたのだから、もうこんなことは忘れよう」と思い直して、
ベッドの中でパンフレットを眺めながら、とにかくその日はまたいい気分になって、
眠ったのだが、翌日、またしても、夫にうんざりするできごとが…。

つづく
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by ymznjp | 2011-10-31 14:30

つかの間の夢

先週の日曜日には、
サントリーホールにキーシンのリサイタルを聴きに行った。
娘と私はずいぶん前から、
リサイタルで演奏されるのと同じ曲目をYoutubeからダウンロードして毎日毎日聞きながらこの日を楽しみにしてきたのだ。

ちょうど同じ日に夫が中国から帰国することになっていたので、
「その日は、私もTも帰りが遅くなるからね。
帰ってきても誰もいないけど、驚かないでね」と夫が出張に行く前に何度も言っておいた。
夫は何を言ってもすぐに忘れてしまうアテにならない男なので、いつだってしつこいぐらいに念を押しておかなければならない。
「花うさぎが出かけることにつまらない文句なんて言うわけないじゃないか。
ぼくがそんなに物わかりが悪いと思っているの?」

娘と私は目配せをしあって「思っているよね」とこっそりとささやきあった。

そしてその日。

初めて行くサントリーホールで、
開演前に動き出すからくり人形や、
ステージ上に輝くシャンデリアやパイプオルガンの一つ一つに
目を丸くしながら、演奏を待った。

そしてキーシンが登場。

もうすご~く、よかったんだから。

リストのソナタはあまり好きではないなと家のコンポで聞いた時には思ったのだけれど、
キーシンが生で弾くのを聞くと、
繊細で、力強くて、もう夢を見ているように感動的だったのだ。

最後には、何度も何度もカーテンコールとアンコールがあって、
一言も話をしないのに、「キーシンってきっといい人なんだろうな」と
しみじみと思った。

夢見ごこちのままショップでお土産を買い、
電車に向かって家に向かった。

続く
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by ymznjp | 2011-10-28 19:17

今月の8日と9日の2日間は、娘の学校の学園祭だった。

娘は、クラスの模擬店(喫茶)とホールで一日1回行われる箏曲部の演奏のために、
1週間ほど前から始発電車で出かける生活となった。

学園祭の数日前にお琴の先生から厳しいことを言われたらしく、
落ち込んでいたようだったが、日曜日に私が見に行った時には、特に失敗もなくなかなか上手に弾けていたと思う。
昨年、先生が変わってから、練習も厳しくなり、演奏もレベルアップしていた。
この日で、娘も部活を引退することになったが、演奏が終わった後、廊下で会ったときには笑顔だった。
その後、約束通り、娘のクラスの模擬店でドーナツとホットドッグを食べて帰宅。

翌日は、娘と一緒に息子の下宿まで出かけていく。
部屋には、Amazonや無印で買って送った家電や家具もすべてそろい、
いかにも大学生の部屋らしくなっていた。
引っ越して日も浅いせいか、片付いていてきれいな部屋だった。
これから徐々に汚部屋に変貌していくのであろう。
食事は、シリコン鍋を使って焼きそばなどを作っているという。
うまくすると、1食100円くらいで済ませることができるそうだ。
冬休みには、あちこちに旅行する予定だと言っていたが、その費用はもしかしたら、
こうして食費を削って作るつもりかしら。何だか心配だ。
帰りにショッピングセンターで、娘のよそ行き用の服を買って帰る。

連休最後の1日は、娘の部屋の片付けを手伝う。
古い学校の資料や配布物、ぬいぐるみやおもちゃ、本、マンガ等を山のように捨てる。

この3日間で疲れ切った私は、その後、一週間、特にこれと言ったことをしないですごしてしまった。

やったことは、オークションで美輪明宏のDVD2本、本1冊を落札して、
それをごろごろしながら、見たり読んだりしたこと。
千切れたまましまってあったベネチアングラスのネックレス2本を修理したこと。
娘の弁当用の巾着袋を作ったことくらい。

忙しかった夏の後には、こういう秋もいいかもしれない。
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by ymznjp | 2011-10-18 20:55

ということは?

8月に大きな案件を受注した。

かなりの分量を一人でやってほしいと言われたのだが、
8月の下旬には、他の仕事がもう入っていたし、松山に旅行に行くことにもなっていたので、
後半部分は別の翻訳者がやることになった。
翻訳会社の要求に応じて、その翻訳者のために、私がネットで探した資料も渡したりしたのだから、確かに別の翻訳者が担当したのだと思う。

それが9月の終いになってから、
なぜかその他の翻訳者に発注したらしい後半部分が、私に発注された。

前半部分もそうだったのだが、後半部分も、かなりめちゃくちゃな文章で、
非常に意味がとりにくく、内容が分かったとしても、そのまま訳したのでは、まともな文にならない。
たぶん、まともな文章が書けない人が書いた文なのだろう。

明日納品で、だいたいもう訳文はできあがったのだが、
かなり情けないできの部分がいくつかある。

もしかしたら、私に発注されたのは、8月に別の翻訳者が作成した訳文が顧客からダメだしを食らったからだろうか。

私は普段かなりめちゃくちゃな原文を受け取っても、私の解釈力がないのを他人のせいにしていると思われるようなことがあってもいけないから、「めちゃくちゃな文だった」などと伝えることは滅多にない。
だけど、今回は私ももう一人の翻訳者もそろってできがわるいのだとしたら、原文が悪いと言えば信じてもらえそうだ。一応、メールにそう書いてみようかな。どうしよう。
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by ymznjp | 2011-10-05 00:01

花を咲かそうよ

日曜日には、娘と美輪明宏のコンサートに行った。

もうホールに入るや、帝劇や四季劇場とはまったく違う雰囲気。
きらびやかというのか、妖艶というのか、けばけばしいというのか分からないけれど、
日常を突き抜けた何かが空中を漂っている感じだった。

こういう雰囲気はきらいではないので、すぐにご機嫌になる。
パンフレットを買うついでに、サイン本を手に取ってみると、たくさんの数をこなすのだろうに、息をのむほど美しいサインがしてあったので、
つい購入。

楽しいけれどちょっと毒のある会話。
でも、この人の熱いロマンも、強く正しい心も同時に感じられる。本当に不思議な人。

歌にも演技にも、狂気と正気のあわいにまで届くような圧倒的な表現があり、
陶酔したり、戦慄したりしているうちに、3時間もの長い時間がたちまち過ぎていった。

最後のアンコールには、定番の「花」が歌われて、
舞台の背景があふれんばかりの花模様から、金色一色に変わり、
金色の花吹雪が一面に散って、幕が閉じた。
思わず立ち上がって拍手する。

こんな演出、普通だったら、けばけばしくて悪趣味だと思ってしまうのだろうけれど、
この人がその中心に立つとなぜか納得できるものがあって、感動してしまう。
ホールを出ると、紅潮した顔のおばさまたちが(私もそうだけれど)、「よかったわねえ」と感動を口にしながら、夜の町に出て行った。
本当によかった。
このところ、生活の上でいろいろな節目を迎え、加えて仕事も忙しく、小さいことにこだわって、
気持ちもくさくさしていたけれど、
こういう我が道を生きてきた人の強さを見ると、それだけで、こちらも励まされる。

泣きなさい。笑いなさい。という「花」の歌詞。
私には泣くほど深刻な悩みもないのに、まるでわざわざ悩みたい人であるかのように、
わずかな悩みを何度も繰り返し引っ張り出しては、
気持ちを荒立たせてきた。
泣きもせず、笑いもしないで、
十分に幸せなのにそれを自覚しないまま長い時間を過ごしてしまった。
なんともったいないことをしていたのだろう。
だから、これからは、笑いましょう。そして、泣くことがあったら、気持ちのままに泣きましょう。

スピリチュアルなんてまるで信じない私だが、歌が終わるころには、
心の中にわだかまっていた濁ったものが熱せられて蒸発しまったかのように、
曇りのない気持ちになっていた。

来年には、椿姫を演じるという。ぜひ行きたい。もっと見たい。
美輪さん、ありがとう。いつまでも元気でいてね。
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by ymznjp | 2011-10-03 23:20

飛び立っていった

息子が引っ越して行った。
20年も心を砕いて育ててきたのに、あっけなく行ってしまった。

二階の窓から、荷物と夫と息子を載せた軽トラックが走り去るのを見ていた。

こういう日にも、忙しそうに仕事をしていてごめん。

来週の連休には、仕事が終わるから、おいしいものを持って一度行くからね。

そう言ったら、「来週は、用事があっていないかもしれないから」と言っていた。

なんとつれないこと。

…でも、合鍵があるからね(夫所有のマンションなので)。どっちにしても行ってみよう。
どんなふうに生活しているか、気になるし、ちょっと覗きに行ってみよう。
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by ymznjp | 2011-10-02 00:20