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よかったのだろうか

昨日、進まない仕事にイライラしていると、電話が鳴った。
出てみると隣家の奥様だった。

「今、パートから帰るところなんですけど、娘(小2)がもう家に着いてしまったようなんです。
鍵を持たせていないので、家の前にいると思いますけど、外に立たせておくのも心配だし、お宅の玄関にでも入れてやってもらえないかしら。10分くらいで帰りますので」

「ええ、もちろん、いいですよ」

外に出ると、隣のお嬢様が家の前にしゃがんでいた。

「今、お母さんから遅くなるって電話があったけど、おばちゃんちに来ない?お母さんがそうしなさいって言ってたよ」

しかし、「いや」と表情をこわばらせて言う。

「漫画もあるし、チョコレートもあるよ」

それでもダメだった。

放っておくわけにもいかないので、外で一緒に帰りを待つことにした。


お嬢様は、私が座っているドアの前から一番はなれた庭の隅にしゃがんで、黙りこくってシャベルで土を掘り続ける。
内気な子なのだ。うちの娘と同じ。

しばらくして、奥様が帰って来た。
「あら、すみません。あの子、きっと行きたがらなかったんですね。
お忙しかったんじゃないですか」

本当は忙しかったのだが、笑顔で「ちっとも。外の空気が吸えてよかったわ」と答えて家に入った。

夜になってから、隣家の奥様が、「ミスタードーナツ」の箱をもって現れた。
そんなに気を使ってくれなくてもいいのに。
これでは1時間分くらいの時給を使ってしまったのではないだろうか。

隣家の奥様がパートを始めた時、急に帰りが遅くなる場合は、もう手がかからない年頃になったし、うちに入れておきましょうと私のほうから声をかけたのだ。それで安心だと思ったのだが、子供は大人の思惑通りにはならないものだ。

それに、子供を外においておけないとは、いつのまにやら、実に物騒な世の中になったものだ。
そんなことを考えながら、ドーナツをありがたくいただいた。なにやら悲しかった。

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by ymznjp | 2007-11-21 09:27