第3回解説
2012年 05月 12日実況見分も終わり、特にどうということもなく事故のほうは片付いたようです。
まだ、何点の減点になるかわかりませんが、免停などになることもなさそうです。
では、今回の文を見ていきましょう。
八、劳动合同的解除、终止和经济补偿
「八、労働契約の解除、終了、経済補償」
第十八条 甲乙双方解除、终止劳动合同应当依照《中华人民共和国劳动合同法》和国家及北京市有关规定执行。
「第十八条 甲乙双方は、「中華人民共和国労働契約法」と国および北京市の関係規定に従って、労働契約の解除、終了を行わなければならない。」
日本語訳文中では、《 》のような日本語ではあまり使われない括弧を使わないほうがよいと思います。このような場合、通常、日本語では「 」を使うことが多いので、ここではこれを使うようにしましょう。「解除、终止劳动合同」の箇所は、「劳动合同」という1つの目的語に対して、「解除、终止」という2つの動詞が並列してかかっています。
「甲乙双方が労働契約を解除、終了するにあたっては、…に基づいて執行しなければならない」と訳してもかまわないのですが、上記のように訳したほうが自然です。
第十九条 甲方应当在解除或者终止本合同时,为乙方出具解除或者终止劳动合同的证明,并在十五日内为乙方办理档案和社会保险关系转移手续。
「第十九条 甲は本契約を解除または終了する時、乙に労働契約を解除または終了したことを示す証明書を発行するとともに、15日以内に乙のために個人身上調書および社会保険関係の移転手続きを行わなければならない。」
「示す」という言葉に該当する語は中国語原文中にはありませんが、適宜こういう言葉を加えると日本語らしくなります。
第二十条 乙方应当按照双方约定,办理工作交接。应当支付经济补偿的,在办结工作交接时支付。
「第二十条 乙は双方の取り決めに基づいて業務の引き継ぎを行わなければならない。経済的補償金を支払わなければならない場合は、業務の引き継ぎが終了した時に支払う。」
「経済補償を支払う」でも、間違いではありませんが、何となく不自然ですね。「経済補償金を支払う」、「経済的補償を行う」等、多少の工夫をしたほうがよいでしょう。
九、当事人约定的其他内容
第二十一条 甲乙双方约定本合同增加以下内容:
「九、当事者が定めるその他の内容
第二十一条 甲乙双方は本契約に以下の内容を加えることを取り決める。」
十、劳动争议处理及其它
第二十二条 双方因履行本合同发生争议,当事人可以向甲方劳动争议调解委员会申请调解;调解不成的,可以向劳动争议仲裁委员会申请仲裁。
当事人一方也可以直接向劳动争议仲裁委员会申请仲裁。
「十、労働争議の処理およびその他の事項
第二十二条 双方が本契約を履行したことによって争議が生じた場合、当事者は甲の労働争議調停委員会に調停を申請することができる。調停によって解決できない場合は、労働争議仲裁委員会に仲裁を申請することができる。
当事者の一方が労働争議仲裁委員会に仲裁を直接申請することもできる。」
ここで難しいのは、「当事人一方也可以直接向劳动争议仲裁委员会申请仲裁」という部分です。これは、前の部分で述べているように「双方が、調停という段階を踏んでから、仲裁を行う」という方法の他に、「(双方でなくても)一方が直接仲裁を申請することもできる」という意味です。ですから、「当事者の一方は」とするよりも、「当事者の一方が」としたほうが妥当ではないでしょうか。
by ymznjp
| 2012-05-12 12:08