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虫めづる姫君

数ヶ月前、娘の学校に「寄生虫博士」が来て講演をした。
こういう講演があるときには、父母もチケットがもらえるが(希望者多数の場合は抽選)、今回は苦手なテーマだったので申し込まなかった。
しかし、この自らの体内で寄生虫を飼う博士の話に娘はたいへんに感銘を受けたらしく、図書館でこの人の「笑うカイチュウ」という著書を借りてきて、熱心に読んでいた。
娘が何の本を読もうと勝手なのだが、この本の中に出てくるたくさんの尾籠(?)かつ恐ろしい話を食事中であろうと何であろうとお構いなく、折に触れて私に話して聞かせるのには、辟易としている。
なぜだか知らないが、娘はそういう長い生き物が以前から好きなのである。
気がつくと、私のパソコンに、娘が「アオダイショウ」、「ボア」などと検索した痕跡が残されている時がある。そういう娘なので、カイチュウの話にも大いに興味をもったらしく、「そういうのってどこで見られるの?」と私に聞いてくる。
私が子どものころには、小学校の理科室の前にずらりとサナダムシやカイチュウなどの寄生虫のホルマリン漬けの瓶が並んでいたものだが、そういえば最近の学校ではそういうものを見たことがない。いつのまにか、そんな気味の悪いものは学校に置かなくなったのだろう。(逆に、以前はどうしてそんなものがどこの学校にもあったのだろう?)
実物を見たことがない娘は、そんな私の昔話をなにやらうらやましそうに聞いていた。

かと思えば、先日も友人と科学博物館に行き、「おなかの中にぎっしりとソーメンみたいな虫がつまっているクジラの標本を見た」と興奮して話してくれた。
娘と2人で食べる昼食に、私はソーメンを用意していたが、あまりにも生々しい話に食欲をなくし、急遽コンビニで菓子パンを買って食べることになった。(もちろん、焼きそばパンは買わなかった。)

今、進路を決める年頃になって、こういうものに興味を持ち始め、将来、その道の研究をしたいと言い出したら、どうしようと一瞬思ったが、寄生虫博士の経歴を見ると、現在、東京医科歯科大学医学部の教授を務めていることが分かった。娘の学力では、医科歯科大の医学部には手が届かないだろう。だったら、将来、毎日、寄生虫の話を聞かされずにすみそうだ。
ああ、よかった。
by ymznjp | 2010-08-17 22:20