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黎波先生のこと

春に開催予定の母校中文科の同窓会に出席するかどうかを友人たちに尋ねるメールを出したところ、
友人からの返信で黎波先生がご逝去されたことを知った。

大学時代、二年間にわたり、講読の授業(魯迅と老舎)を受けたが、当時、若い私たちは先生の真価を理解していなかった。
後年、翻訳者のはしくれとなって、改めて先生の「中国文学館―詩経から巴金」(大修館書店)を手に取った時、
その知識の広さと深さに驚嘆し、自分とのはるかな距離に愕然としたのを覚えている。
今にいたるも、中国文学の世界で、先生の訳文ほど精緻で奥の深い訳文に触れたことがない。
それは、先生の自国の文化や言語への思いの深さがそこに現れているからだと思う。
奇しくも、昨夜も就寝前に手にとって、巴金、老舎、趙樹里などについて書かれたページをめくっていたところだった。

生前、先生の評価が不当に低かったため、著書が少ないことが残念でならない。
この記事を見て、一人でも多くの方が先生の著書を入手可能なうちに手にとっていただけたらと思う。
by ymznjp | 2010-03-06 21:25